中高生レベルの英文法が怪しいエンジニアの方向け100H勉強法

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     友人のエンジニアの方と英語学習のお話をした際に、「英語学習においては、リスニングの勉強が効率がよいって聞いたけれど、そこんとこどうなの?」と質問をいただいたので、それに対するアンサーです。

     僕はTOEICの点数も低く(730点)、全く英語についてわからないレベルです。しかし英語のドキュメントを読むことに苦はなく、それよりかは英文を読み解くことを面白くさえ感じます。エンジニアとして英語に触れる型の中には一種の英語アレルギーを持っている方もいらっしゃるかと思いますが、僕としては楽しんで英語と関われている現状に対して、幸せに感じています。

     「英語力」というものが存在すると仮定して、その能力を「リーディング」「リスニング」「スピーキング」…というように分類するのであれば、日本で働いている一般的なWebエンジニアに最も求められる/必要とされる英語力は、多くの場合において「リーディング」かと思います。

     一般的に世間で言われている「効率的な英語学習法」というものは様々存在しますが、その多くがネイティブスピーカーのように英会話を楽しむこと、もしくは洋書がスラスラと読める事、洋画を字幕なしで楽しめる事などを目指していると思います。この学習法を王道的な学習法とするのであれば、エンジニア(Webエンジニア)が最も必要とするリーティング力の向上のためには、必ずしもこの王道の方法を採用する必要はないかと考えています。

     僕は社会人になってから英語の重要性を感じて学び直しを始めました。初めは中学生レベルでした。重ねてになりますが現在も能力も高くない(むしろ低い)です。勉強法を調査したりフィリピン留学をしたりしましたが、成長速度もはっきり言って遅いです。ですが、だからこそ、エンジニアに求められる英語力の効果的な伸ばし方について考え直す価値があると思っています。

     以下、友人のエンジニアの方への返信内容となります。

    エンジニアの効果的な英語学習方法

     英語勉強のやり方に関しては、自分はこちらのサイトの音読(リスニング含む)のやり方は王道かと思っています。
    (自分もやりました)(リピーティングやシャドーイングの効果はあちこちで聞きますし)
    英語上達完全マップ●音読パッケージ

     ただ 英語のドキュメントや論文を読むという意味でリーディング力向上の緊急度が高いのであれば、このようなやり方の即効性はやや弱いので、やはり文法の基礎に焦点を当ててスタートしていくのがよいかと🦆

    文法を学んでいく中で、思い出したときに例文を口に出して読んでみる、というのはいいかもDeath

    頭の中で唱えるよりも、声に出したほうが体に染みつく度合いが高いともききます(僕は深夜0時頃に夜の246付近をランニングしながら、イヤホンから流れてくる英文をぶつぶつと口に出して繰り返す活動を週に2回くらいしています)

    以下、書いたので読んでください。
    はやく

    1. 英文法本を一周 (10 ~ 20H)

     書籍「1億人の英文法」を読んで内容をざっくり理解してください。(以前に僕がお渡しした本です。)細かいところはよいので、最初から最後まで一度読み通してください。10~20時間くらいあれば、最後まではいけるかと。

     この作業が一番きついかもしれません(自分はそうでした)。ですがここで学んだことは一生使えるので絶対に損はしません。投資対効果は高いです。一夜漬けでもよいので最後まで読み通すことで、英文法の基礎が小宮さんの中に一度全てインプットされたことになります。これが自身にもなります。

     どんなに難しくて長い英文も、全てこの本に書かれている文法・構文を理解しているのであれば、理論上は理解することが可能です。眠かったりダルかったりする場合は、部屋の中を歩き回りながら音読してください。あほみたいに。

     万が一、本の内容に信頼がおけなかったり飽きてきてしまったりした場合は、「Forest」に変更してもよいかもしれません。こちらもよい本です。色々なところで推奨されています。レベル感も「一億人~」とほぼ同じです。

     当然ながら英文法は世界共通であり、(おそらく)一生変化することはありません。ですので理解すべき内容・本に書かれているコアの内容は一緒になりますが、本の好みは人によって分かれるようです。僕は両方ざっと読みましたが、「一億人~」の方が合っていました。

    2. 英文法本のわからなかったところのみ復習 (0 ~ 10H)

     「1」で通読した際に理解が怪しいところを重点的に読んでください。「過去分詞」の使い方や「仮定法」あたりは、一度で理解するのは難しいと思います。そういったところをスポットで集中的に取り組んでください。ここでも例文を音読すると効果的かと思います。

     可能であれば、納得がいくまでやったほうが良いです。ですが向き不向きもあるので、これにどれだけ時間をかけるかは人によります。問題解決スタイルで臨むやり方が小宮さんに合っているのであれば、この「2」は飛ばしてしまってもよいかもしれません。僕は10時間もかけずに、難しかったところだけ軽く復習したような記憶があります。飛ばしてしまっても、「3」の実践編で実際に問題を解くので、その際にこちらの本に戻ってきて学習し直すやり方で進めるのもありかと思います。

     この「2」の作業、あるいは「1」が終わった時点で、この文法本には集中して取り組まなくて大丈夫です。以後は辞書として使用します。ディスプレイの高さ調節や鍋敷きとして使っていただいてOKです。「3」の作業以降でつまずいた時に拾い読みをするのがオススメです。

     これらの過程において取り組むうえでのお勧めとしては、「文法を覚える」といよりは「例文を暗記する」感覚で臨むことがよいかと思います。一つの例文を通して、自分の中に文法別にテンプレートを築いていく感覚です。テンプレートが出来上がれば、単語を差し替えるだけで無限の英文を作ることができます。

     「一億人~」にも書いてあるかと思いますが、声に出して読むときに情景を頭の中で描くと効果的です。イメージと英文を結び付けて暗記するのは記憶の定着率が高いと言われていますので。
     

    3. 簡単な文法問題集1, 2冊をそれぞれ3周くらい ( 40 ~ 70H )

     ここまでで文法のインプットは終わりです。この「3」はアウトプットのフェーズだと思ってください。

     文法の問題集を解きます。高校受験用もしくは高校の授業で使用する問題集を買ってきてください。例文の一部が虫食いになっていて、空欄に当てはまる適切な選択肢を選ぶ問題がズラーっと問題が300問くらい書いてあるやつです。

     基礎的な文法を学ぶことが目的ですので、なるべくシンプルで簡単そうなものを選んでください。登場する単語が難しすぎると調査に時間がかかりますし、大学受験レベルになると難しい熟語(言い回し)や重箱の隅を突くようなトリビアが増えてきますので注意してください。本のデザイン(見やすさも)重要視してもよいかもです。あとは、丁寧に解説してくれるわかりやすい本がオススメです。

    3-1. 1冊目

     こいつを解きます。まず1周してください。その後更に2週してください。「1」で使用した本は辞書のように使ってください。

     このフェーズでは文法の理解力を向上させることが目的ですが、それとは別のところ、英単語がわからずに苦戦することがあるかと思います(これは「1」でも発生しますね)。英単語は調べる時間がかかる割には、成果が出にくい(TOEICなどのテストで高得点がとりにくい)分野ですので、投資対効果は現時点では低いです。初めのうちは英単語よりも英文法を理解するほうが成長は早いです。

     これはプログラミングと同じで、ニッチな関数をいくら知っていても、基本の文法を理解していなければコードを書くことができないのと同じです。

     ですので文法の学習と単語の学習は分けて考えてください。文法を理解する上でも最低限の英単語は必要です。実際、頻繁に出現する英単語はあるため、それら頻出単語を理解することは大事なのですが、それらは英文法を学ぶ過程で登場したものに絞って、都度インプットしていけばよいかと思います。

     そういった意味でも、やはり簡単そうな問題集をチョイスすることが大切です。単語が簡単で、文法の要点を抑えていて、解説やデザインがわかりやすそうなものを選びましょう。2回、3回と回すので、簡単なほうが良いのです。

     また、上の方で「英単語は成果が出にくい」と書きましたが、これは正しく言い換えると「現時点で英単語を集中に勉強することによる英語力への影響は即効性が薄い」ということになります。英単語学習の集中的な学習は大切ですが、タイミングが悪いと言う意味です。

    // 英語完全上達マップより

    よく電車の中などで、受験生が単語集で英単語を暗記しようとしていますが、気の毒な思いがします。私も受験時代挑戦しましたがほとんど覚えられませんでした。たとえ覚えても、日の下の粉雪のようにはかない記憶で、すぐに消え去ってしまいます。単語をボキャビルによってどんどん定着させていけるのは、構文・文法・基礎語彙などが有機的に自分の中に取り込まれ、「英語体質」とでも言うべきものができ始めてからです。具体的に言えばTOEICで600点近くなった頃です。大学受験生でこのレベルにある人は少数ですから、ほとんどの場合ボキャビルをしようとしても徒労に終わります。土も無いところに種を蒔くようなものだからです。

     僕自身、大学受験系の英単語帳で勉強もしたのですが、なかなか身につきませんでした。と言いますのも、そう言った単語帳には日常生活で使用頻度が少ない単語(政治・経済など)の語彙も多く含まれているため、記憶の定着率が低いです。Webエンジニアが日々触れる単語というものはテクノロジーに関するものですので、こう言った単語を学習することの優先度は低いです。
     同様に、「TOEIC頻出単語300選!」や「ニュースの英語がわかる!英単語500問」というようなタイトルの本が販売されているのをご存知の通り、挑む試験や、単語を使用するTPOによって優先度の高い英単語というものは異なってきます。ですので、英語学習の初期のうちは頻出の英単語のみに意識を当てて、専門性が高い語彙については避けるのがベターかと考えます。もし集中して学習するのであれば、SVLの上位3000語などを、Ankiなどのアプリを使用して集中的にハックすると良いかと。

     文法書を3周も回せば、問題を読んだ瞬間に答えがわかるようになってくるかと思います。こうなったらば、その問題集は終わりです。

    3-2. 2冊目以降

     問題集がひとつ終わったら、できれば2冊目にも取り組んでください。2冊目は少し難しいもの、もしくは1冊目でカバーでききれていない内容を掲載しているもの選択するのが良いかと思います。2冊目についても3周くらい回しましょう。
    難しい文法問題集を1冊やるよりも、簡単なものを2冊やる方が絶対良いです。

     これが終わりましたら、文法の勉強は終わりです。英文法はしばらく集中してやらなくてよいかと思います。
    ここまでで大体100時間くらい、取り組み方によってはもっといくかもしれません。この段階までくれば、TOEICであればリーディングスコア250は超えるかと思います(TOEICの配点は、990点満点中 リスニング495満点、リーディング495満点)。このレベルであれば、一般的なテクノロジー系のWeb記事を読んでいて、文法が全くわからないということにはならないかと思います。

     もし実践の緊急度が高いのであれば、「3」も飛ばしてしまって実際の英文に取り組んでしまってもよいかもしれません。ただし、学生向けの問題集に比べてプログラミング系のWeb記事をはじめとする多くの英文は、当然ながらレベルが高いです。こういった、文法だけでなく英単語も難しい文章に遭遇してしまうと、すごく疲れます。読み始める最初のうちは辞書や文法書を引けばなんとか理解できるものの、少しずつ読み進めるうちにモチベーションも下がってきて、最終的にはGoogle日本語翻訳に頼る結果になる可能性が高いです。

     何より危険なのが、学習性無力感です。読み進めるのが遅く、難しすぎて嫌になってしまうと、一種の英語アレルギーのようなものが発生してしまい、「折角勉強したのに、僕は勉強しても英語をみにつけることは無理なのだ…」と英語の勉強そのものををあきらめてしまうかもしれません。こういった学習性無力感は一番危険なものだと僕は思っていまして、そうならないためにも初めは簡単な問題を数多く取り組むことが大切かと思っています。

     英語は一気に成長はせずコツコツと伸ばしていく必要があるため、簡単な英文に何度も取り組む。この方法論も多くのところで語られています。中途半端な投資は挫折の経験だけを残していく可能性があります。ですので可能であれば「3」の過程は取り組んだ方がよいかと考えています。

    余談

     余談になりますが、流石の小宮さんでもここまでの過程で飽きてくるかもしれません。(僕はよく風呂につかりながら読んでいたのですが、何度も寝落ちしました。)ですがこの辺りの内容は実際の英文では頻繁に登場するので、一度でよいので「理解」することが我々ノンネイティブには必須です。これも投資と思ってください。
     ネイティブの方々は意外と頭では理解していません。体ではわかっているけれど頭ではわかっていないという状態です。ネイティブの方はそういった状態の人が多いです。一方我々は日々の生活において英語を話すことはありません。そういった我々のような人が英語を話せるようになるためには、文法を頭で「理解」しておく必要があります。
     
     うっかり何も考えずにフィリピン留学とか英会話レッスンとかは行かないでください。文法を理解していない状態で留学しても、中学生レベルの自己紹介をひたすらやらされて終わる危険性があります(英語は話せるのが教えるのが上手ではない先生も少なくないですし)。

     確かに自己紹介レベルの英語を喋る毎日を続けていれば、簡単な英語での受け答えはできるようになります。ですがしっかりと正しい文法で英語を話せるようになる方は少ないです。そういった環境で正しく話せる方ようになった方も、結局は留学先にて文法を勉強しています。文法の学習は避けて通れないと思ってください。プログラム言語を覚えるのと同じだと思ってください。今やっているのはdjangoの公式Tutorialだと思ってください。

     英会話ディスみたいになってしまいましたが決してそんなことはありません。いずれにしても文法はそれ単独で学ぶことが効果的だということ。この点が伝わってくれると嬉しいです(自分の現状のレベル感の確認やモチベーションの管理を目的とするのでしたら、英会話レッスンや英語学校も良いかと思います)。

    終わりに

     この文章の最初で取り上げた英語完全上達マップという勉強法があるのですが、僕がこの記事で書いた内容は、この完全上達マップの文法の勉強法を参考にしています。僕自身、現在もこちらの勉強法に沿って学習を進めまていまして(現在は児童向け洋書の多読を実践中 防水Kindle最高)、またTOEIC高得点の取得と言った詰め込み式の勉強法ではなく 英語の基礎を体に染み込ませるというこちらの方法論に対しては賛成です。

     ただ英語完全上達マップの勉強法が飽きてしまう人や、論理的に学ぶことに対する興味が強い人、もしくは業務上の必要性に駆られて英語の学習を検討しているエンジニアの方も一定数存在するかと思います。またエンジニアの方であれば、プログラミング言語を覚えるのと同様の方法で英語を学習した方が効果的な可能性もあります。そう言った意味からエンジニア向けとして、完全上達マップの勉強法そのものを提案するのではなく、文法に焦点を当てて一部を取り入れる柔軟な勉強法を提案させていただきました。

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